隠居志願のつぶやき2017

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...... 2020年06月26日 の日記 ......
■ 映像今昔   [ NO. 2020062601-1 ]
 知り合いの美女が、3時間かかって描いた龍のボディーアートを自動遠隔撮影し、それを10時間かけて15分間の映像に編集したものをユーチューブにアップし好評を得ているという話を聞き、今は誰でも映像を公表できる時代になったのだと改めて感じ入った。20年前、俺は放送事業部長という新聞社にはあるまじきお役目で、映像づくりに四苦八苦していたのだった。
 当時はインターネットのHPが出来て5年目。活字は得意な新聞社だが、映像には全くの素人集団。テレビ用のカメラは1000万円はし、とても映像には手が出せないと思っていたら、「HPに動画をアップせよ、それが放送事業部の仕事」という上司の命が下った。そんなのやれるかいと思っていた時に、体力派の部員、Nくんが「10万円のソニーのデジカメ、『サイバーショット』で20秒間の動画が撮れます」という話を持ってきた。音声も収録できる。
 パソコンの場面上で7a角の映像が動いた時は感動したねぇ。で、Nくんに「今日のニュース動画をやれ!」1日1本20秒の動画をアップさせていったのだ。テレビのクルーはディレクター、カメラマン、音声担当と3人は必要。ウチの動画なら1人で映像が撮れるからコストがかからない。テレビのワイドショーより半日早い「スターの記者会見」とか「新車の発表会見」など視聴率が取れそうな動画コンテンツを考えつき、次々にHPにアップさせていった。
 竹橋の新聞社はやせても枯れても全国に600、世界に20の取材拠点がある。そこから映像が集められればとんでもない質と量のコンテンツを集めることができ、民放の東京のキー局には負けないと思ったのだが、福島県の相馬野馬追の20秒映像を送ってと福島支局に頼んで、考えが甘かったことを思い知らされた。福島―東京の電話回線が細すぎて、20秒の映像を送るのに1時間もかかったのだ。当時は映像をアップするまでには、回線を太くするなどの基盤整備が欠かせなかったのだ。
 今や、NHKの「スクープボックス」のように、一般視聴者がスマホで災害映像を撮影して送信し、それがテレビに流れる時代。20年前とは画素数も段違いでプロが撮ったような映像だ。新聞社のHPでも動画コンテンツは当たり前のようにアップされているが、俺が2代目の部長だった放送事業部は「映像はテレビ局から買えばいい」という阿呆な上司の意向で3代目を最後に潰された。俺がやってた仕事は残念ながら、5年早かったと思うことしきりである。

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