節分の恵方巻にはとんと心を動かされぬが、平賀源内先生考案の土用丑の日のうなぎは一度は食わねばと思っている。でも、昨今、本物のうなぎはお高いからねぇ。宇都宮にいた4年間は31日が会社の重鎮の誕生日だったので、誕生祝にかこつけて、地元に詳しい方に教わった名店「うな亭」で、暑い夏のうなぎを堪能した。 宇都宮を去ることになった3年前は、実家が鹿沼市のうなぎの名店というデザイン担当の女性社員と仲がよかったもので、「1日空けてください」というオファーを受け、敏腕女性記者の運転する車で鹿沼に乗り込み「ほんの家庭料理」といううなぎ尽くしをゴチになった。あれはうまかったなぁ。 西国に戻ってからは知り合いの美女に声を掛け、山口瞳が愛した国立「押田」、太宰治が好んだという国分寺「若松屋」のうなぎを食してきたが、昨年だったか「押田」が「価格高騰でもう商売を続けられない」と店を閉じてしまったのは、いかにも残念だった。 さて今年。年金生活入りした人間に名店のうなぎは似合わない。しかし、もう2回もうなぎを食ったんである。イヒヒ。よく買い物に行くエブリデーロープライスの「オーケー」でもパックのウナギの蒲焼きは大で1600円もする。ところが、この時期、よく朝食に利用する西国駅前の「すき家」ではうな丼が790円(うなぎ半切れ)、うな牛丼(うなぎ半切れ+牛)が890円で食えるのである。俺が食ったのはシジミ汁、おしんこ付きでお得なうな牛丼で990円。 ちゃんと山椒の粉もついていて、三度たれにつけて焼いた自慢の品(セントラルキッチンだな)というだけあって、なかなかふっくらとしていておいしいうなぎなんである。昨今は、コンビニなどでも利用者が増えているお惣菜の商品開発を懸命に進めており、安くて早いだけが取り柄とみえた「すき家」でも、下手なものは出せないのだとみる。 うなぎは食べたいが、名店のそれはちと敷居が高いとお悩みのあなた。だまされたと思って、お近くの「すき家」でぜひ一度、うな牛丼をご賞味あれ。テイクアウトもできます。 |
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