人の噂も七十五日というが、本日、ヒロシマに原爆が投下されて75年。これは忘れてはいけない、ということで先月に読んだ本。 高樹のぶ子著「小説伊勢物語 業平」。短歌の世界からは程遠い俺だが、「世の中に絶えて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし」などの歌で知られる在原業平の生涯を歌でたどった高樹さんの力作。面白い文体が魅力。内田樹・るん著「街場の親子論」。内田氏は同世代。長女、るんちゃんがまだ幼いころ離婚している。その二人の往復書簡で、親と子を語り合う。父親が小ずるく立ち回るのが面白い。 佐藤多佳子著「しゃべれどもしゃべれども」。次女に読書感想文用に薦められた。「一瞬の夏」で知られる佐藤さん。達者なものだ。川上和人著「鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。」。単行本が刊行された時から、このタイトルはうまいと思っていた。なかなか楽しく読める。立花隆著「エーゲ永遠回帰の海」。知の巨人、立花隆が自分の著作の中で最も気に入っている本という。ギリシャ、トルコを40日間かけて回った時の本。何より写真(カメラマン・須田慎太郎)が素晴らしい。 森川博之著「5G」。いま我々が使っているのが4G。校閲のバイトでドコモの5G実験のリリースをよくチェックさせられたが、いまいちよく分からなかった。漠然と5Gの世界が近くなった。馳星周著「少年と犬」。直木賞受賞作。馳作品は20年ほど前「不夜城」を読んでこりゃ、すごいと思ったが、全く質の違う世界を描いて直木賞を取った。しかし、この犬の物語、よくできているしうまい。 内田宗治著「東京の秘密33 多摩・武蔵野篇」。多摩東部地区に住む人は23区の下町の人よりお金持ちなどのデータが面白い。小川さやか「チョンキンマンションのボスは知っている」。女性人類学者が香港で懇意になったタンザニア人の業者の日常を書いた。大宅壮一ノンフィクション賞受賞作だが、ちょっとなぁと感じた。望月衣塑子・佐高信著「なぜ日本のジャーナリズムは崩壊したのか」。名高い東京新聞の記者、望月さんと辛口評論家、佐高の安直な対談集。ジャーナリズムが弱くなっていることは事実だが。 |
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