大昔、流通の記者クラブにいたとき、堤清二氏率いるセゾングループの人と仲良くなった。作家でもあった堤氏(ペンネームは辻井喬)は文化についても語ることが多かったが、傘下の西洋フーズシステムズの社長だった和田繁明さんと何かのパーティーで雑談していて、なるほどと思ったことがあった。 「関心事の多い代表は言うことがコロコロ変わる。私の役目は代表の言うことを私のところで止めて、下に伝えないことだった。そのまま下に伝えたら下の者は参っちゃうから」というのだった。和田氏は百貨店業界でも販売のプロとして一目置かれる存在。だから、いかにグループリーダーであっても頭ごなしに和田氏のことは怒れない。それだけ和田氏は自信もお持ちだったのだろう。 先々週末、マンション管理組合のメンバー交代後初の理事会を開こうとしたら、十年ほど前に理事長を務めたおばさんが「総務部会開催の要請書」をお持ちになり、新理事のみなさんに渡してと言う。前理事長の理事会運営が独善的でいろいろ問題があったので、元理事有志としてモノ申したいという内容。 そんなビラをもらっても理事になったばかりの人は様子が分からないし、気分を害するだけと思い、このビラは俺の判断で握りつぶすことにし、2人の副理事長にはこんな要請があったよとビラを密かに渡した。それで先週は2時間ほどかけて過去5年分の総務部会の議事録を読み返したが、出席者は3,4人でいつも同じ顔触れ。内容もその月に開かれた理事会での報告事項を各担当理事がそのまましゃべるだけの無意味な会合で、前理事長がこんな会合はもうやめにすると強調したのがよく分かった。 とはいえ、住民と理事会の交流の場は必要である。俺は堅苦しい名前の「総務部会」ではなく「懇談会」にするつもりだったが、くだんのおばさんは「懇談会はダメ」と言う。自分が理事長の時には「植栽部会」を懇談会にすると切って捨てた経緯があるのにね。で、9月には「住民と理事会との意見交換会」という名称で「総務部会」に代わる場を設けようと考えているのだが、出席者は例によって限られるんだろうなぁ。
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