あれはO・ヘンリーの短篇だったか、心に染みる物語があった。貧しいが深く愛し合う夫婦のお話で、お互いにクリスマスプレゼントを贈ろうとするのだが、お金がない。それで夫は父親の形見の銀の懐中時計を売って、長い髪の妻のため髪飾りをプレゼントに求めた。妻は髪を売って、夫の懐中時計用の銀の鎖を買ったというお話。お互いのプレゼントが役に立たないことが分かったが、相手のために大切なものを手放した互いを思う気持ちに、一層愛し合うようになったというもの。 これには、髪はそのうち伸びるから、髪飾りは無駄にはならないという見方もあるみたいだけど……。 小さいころからショートカットだった次女が、二年ほど前から髪を伸ばし始め、今では腰のあたりまである。先日の長女の誕生祝の宴でも、何度か髪をほどいたりまとめたりしていた。なにせ、30歳を過ぎても童顔なものだから、♪港のヨーコ、ヨコハマ、ヨコスカ♪というような謎めいた大人の女性のムードはない。 で、「いつまで伸ばすの?」と尋ねたら、30を過ぎてアンチ自民に目覚めた次女は「アベが辞めるまでは伸ばそうと思っていたけど、もう切ることになるかな。ヘア・ドネーションにしようかとも思っている」とのこと。これはなかなか殊勝な心掛けである。 がん治療の副作用で髪が抜けてしまった池江璃花子さんのような人のために、ヘアウイッグを贈るヘア・ドネーションを行っているNPOがあり、そこへ切った長い髪を寄付するシステムがあるのだ。ヘア・ドネーションは髪の毛を半分に折って植え付けていくため、長さが31a以上なければならないとか。次女は優にそのラインを超えていると思われる。 髪の長い女性はそういう社会貢献が出来るようで、女優の柴咲コウさんや水野美紀さんもヘア・ドネーションに応じたことがあるとか。切ってしまうのなら、この前ロングヘアの時の記念写真を撮っておくのだった。働く人間は通常時の写真を撮ることがあまりないからなぁ。 |
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