隠居志願のつぶやき2017

[PREV] [NEXT]
...... 2020年09月25日 の日記 ......
■ 夜討ち朝駆け   [ NO. 2020092501-1 ]
 新聞記者の業界用語に「夜討ち朝駆け」というのがある。警察幹部、省庁役人の自宅に夜中もしくは早朝押しかけ、業務上知りえた秘密を教えてと迫る。地方公務員法違反教唆、国家公務員法違反教唆の行為である。警視庁、通産省(現経産省)、大蔵省(現財務省)、農水省、日銀を担当していた30代は連日夜回りの日々(俺は朝が苦手で朝駆けは竹下登蔵相宅くらいしか行ったことがない)だった。
 夜回りの要諦というのがあって、当時は新聞社の旗を付けた黒塗りのハイヤーを使っていたのだが、ハイヤーは相手の家から少し離れた場所に停める、旗は巻いて社名を隠す、相手が不在の場合でもハイヤーの中では待たず、家の前で哀れっぽく待つ、というのである。
 某銀行の頭取の家の前でそうやって待っていた時は、1時間半後に帰宅した頭取に「なんだ、君、まだいたのか」と言われ、相手の口が少し軽くなったことがあった。その時は何を追いかけていたのか、もう忘れてしまったが。
 完全リタイアに身となり、もうそんな夜討ち朝駆けはしなくてもよくなっているのだが、マンション管理組合関係の案件で、役員就任をお願いしなければならない事案があり、先週からもう7回も足を運んだ住民宅がある。行くたびに不在で、今週月曜日ようやく本人にお目にかかれた。玄関先で70分も立ち話となったが、就任は固辞された。
 俺が偉いなと思うのは、その方を推挙された元理事のおばあちゃんが、その7回すべての訪問で、示し合わせた時刻に玄関の前で俺を待っていてくれたことだ。人にモノを頼むときは「三顧の礼」という言葉もある。一回断られたくらいでは、引き下がってはいられない。俺の同期生にはひと月毎晩通いつめて、ようやくネタをもらったという剛の者もいる。推挙してくれたおばあちゃんのためにも、何とか色よい返事をもらいたいのだが、なかなかのハードコアで……。

...... トラックバックURL ......
  クリップボードにコピー

...... 返信を書く ......
[コメントを書く]
タイトル:
お名前:
メール:
URL:
文字色:
コメント :
削除用PW:
投稿キー: