「ママチャリは日本の真の国民車」――。毎日新聞の仲畑流万能川柳欄に先日こんな作品があった。巣籠り生活半年。西国の自宅周辺を徘徊していると、この川柳が全くその通りという光景に遭遇する。足が長い俺もママチャリ、緑色の「メルセデス・ベンツ号」を愛用しているのだが、俺が感心するのがあの電動自転車の前後ろに幼子を乗せて、坂道を駆け上がっていく若いママたちの馬力だ。 フードの付いた後ろのチャイルドシートの子はだいたいチャリ用のヘルメットをかぶっている。俺は電動自転車に乗ったことがないので、坂道をどれだけスイスイ登れるのかよくわからないが、子どもとはいえ、2人も乗せていては俺のメルセデス号ではとてもこいでは登れないよな。 あの電動チャリで保育園に子どもを預け、それから自分も働きに出、帰りはまた子どもを引き取って自宅まで乗せて帰り、夕飯を作って風呂に入れ、寝かしつけ……。それが毎日のルーティーン。仕事して給料さえ家にちゃんと入れていれば問題ないだろと思っていた俺のような旧石器時代人には、とても思い及ばないママたちの奮戦ぶりだ。 その活動の支えとなっている電動ママチャリ。あれ、いつ頃の発明なのか。21世紀に入ってからかなぁ、よく見るようになったのは。幼児を2人も乗せるタイプはフレームもがっちり作ってあるから、けっこうお高いのだろうと思ってググってみたら、なるほどチャイルドシートが前後に付いているようなタイプは15万円くらいする。 主なメーカーはブリヂストン、ヤマハ、パナソニックで、それぞれ「ビッケ」シリーズ、「パス」シリーズ、「ギュット」シリーズなど可愛い名前が付いている。一人用は8万円くらいからあるが、幼児を乗せるタイプはぐんとお高くなる。俺のメルセデス号は確か6000両で買ったから、とても勝負にならない。もっとも後輪のタイヤ・チューブを取り替えたから、現在価格1万1000両。 大切な我が子を乗せ快適に走るには15万両は必要ということか。地方に行けば中古の四つ車が買えるかもな。
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