俺の机上には「日本三大ブック」という奇妙キテレツな1993年発行の本があり、日本三大名物饅頭(福島県の薄皮饅頭、岡山県の大手まんじゅう、東京の志ほせ饅頭)とか、女性憧れの職種新3K(企画部、広報部、国際部)など、「3」でくくられるありとあらゆるお役立ち情報が載っている。ヒマな時、パラパラめくってフムフムとやっているわけだ。俺の好きなのは「三色旗弁当」というので、ドイツ風が黒(ひじき)、赤(フランクフルトソーセージ)、黄(玉子)、ボリビア風が赤(ひき肉)、黄(玉子)、緑(ホウレン草)という誠にバカバカしい内容である。 「きつい 危険 汚い」の3K職場のように、「3」というのはなぜか頭にすっと入りやすい。新聞記事でも@早いA安いBうまい――食事の名店というように、理由、根拠は三つ示すというのが一般的だった。 一方、処世訓のたぐいは五つで示されることが多い。徳川家康の指南役、天海大僧正のそれは、栃木の新聞社時代、日光に遊びに行って「気は長く 勤めはかたく 色うすく 食細うして 心広かれ」というのだと知り、なるほどと思った。住友銀行の中興の祖、堀田庄三が唱えたというのが「おい悪魔」。これは「怒るな 威張るな 焦るな 腐るな 負けるな」というものだ。 昨年、青山学院大での授業で披露し学生から非常に受けた「おじさんを転がすサシスセソ」というのは、「さすがですねぇ 知らなかったわ すごいですね センスあるのね そーなんですか」というものである。竹橋の会社の先輩に教わった「記事のアイウエオ」というのは、アーッと驚き、イヤーすごい、ウッソーと叫び、エーッと絶句、オーッと感動することを書くというもので、小学校での出張授業で使ったらたいへん好評だった。 最近はまっているのが「はげあたま五原則」である。「ハツラツ 元気に あかるく 楽しく まぁるく」というもの。マンション管理組合理事長に就任した際、「あかるくたのしく可愛く」運営したいとアホみたいなことを述べたのだが、この「まぁるく」というのにすればよかったな。 |
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