けさの新聞を広げたら106兆円の21年度予算案が閣議決定されたとあった。えー、まだ大晦日まで十日もあるじゃん。35年も前に予算編成をきりきり言って取材していた身からすると、どうしてそんなに早く決められるのというのが率直な感じだ。 当時は年末28日が政府案決定。ひどい時は30日にずれ込むこともあった。元旦紙面はカロリーの高い広告が入るので、31日の政府案決定だけはやめてとキャップが当局にお願いしたりしてたもんだ。 平成の頃は天皇誕生日が暮れの23日で、この祝日が予算編成のヤマ場に差し掛かるため、どうしてこんな日に生まれたんだよーと悪態をつくこともあったなぁ。 大蔵省担当だったころは、だいたい折衝は難航が予想されると書くのが決まり文句だった。ほんとに年末までに決着するのかと真剣に悩んだものだが、要求官庁と大蔵省の役人同士の話し合いが握れないはずはないのだった。だって自分の金じゃないんだもん。自分の懐が痛むわけじゃない。 これが、お宮入りの可能性の高い殺人事件など社会部が扱う案件は、どこまで続くぬかるみぞ、という感じで年末までにカタが付く保証はない。経済部の扱う予算編成なんて、どんなに途中が辛く苦しくても、大晦日までには決着するからちょろいもんだというのが年を重ねると分かってくる。 新聞の中面をのぞくと、予算案の歳出の内訳は、3分の1が社会保障関係費で俺らが担当していたころの10兆円台から大きく膨らんでいる。十年ほど前に財務省は厚生労働担当の主計官をそれまでの1人から2人に増やした。高齢化が著しいことがうかがえる。過去の借金返済のため国債費が2割の23兆円。かつては10兆円台だったのになぁ。 一方の歳入はコロナで企業業績低迷が予想され、法人税が大幅に減るとみて税収は今年度当初予算に比べ8兆円も下回り、53兆円になる見通し。このため新規国債発行は前年度比34%増の43兆円となった。国債発行が当初予算で増えるのは11年ぶりとか。コロナで国の予算はズタズタになったと言える。 こんなに早く新年度の予算案ができちゃうと、あとはコロナコロナの紙面になるのか。イヤだなぁ。オリンピックも政府やスポーツ関係者は誰もヤメたと言わないし、あんなんほんとに開くのかねぇ。 |
|