隠居志願のつぶやき2017

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...... 2020年12月31日 の日記 ......
■ ことしの本のベストテン   [ NO. 2020123101-1 ]
 7月に素浪人になり、300戸のマンション管理組合の理事長兼小間使いの他は時間があったので、今年は123冊の本を読んだ。社会人になってからの累計は4421冊。例年ならこれぞ今年のベストワン、絶対のお薦めという本があるのだが、今年は飛び切りというのが見つからない。ちなみに19年は高田郁「あきない世傳 金と銀」、18年は馬場マコト「江副浩正」、17年は恩田陸「蜜蜂と遠雷」だった。
 それでも順位を付けるとなると、女流詩人で大酒飲み、剣の腕も立つという主人公の人物設定が面白かった諸田玲子の「女だてら」が1位かなぁ。2位が本屋大賞を取った凪良ゆうの「流浪の月」。ちょっと変わった男女の結びつきが、そういうのもありなんだと新鮮に読ませた。3位が樺太を舞台にした力技で今年上期の直木賞を取った川越宗一の「熱源」。犬好きだったら下期の直木賞受賞作、馳星周の「少年と犬」を選んだかも。これは平易な文章で書かれているが、泣かせる。俺は24年前の馳のデビュー作「不夜城」にたまげた人間だが、年を重ねるとこんな滋味ある作品も書けるのだ。
 これは5位にしておいて、4位はよく調べたと感心させられた石井妙子の「女帝 小池百合子」。これを読めば小池のカイロ大卒というのがインチキということがよく分かるが、都知事の最終学歴はカイロ大となっている。キャスター出身でうずぐしかったころから30年間、新聞などではカイロ大卒と記してきたから、今さら彼女の経歴を変えられないのだろう。裏から手を回せばエジプトの卒業証明書などなんぼでも偽造できるみたい。それにしても百合子さん。歳は隠せない。コロナでフリップを掲げるだけではなぁ。
 6位はしみじみとした話をうまくまとめた桜木紫乃の「家族じまい」。「あさイチ」のスペシャルトークでの彼女の人間性に惚れ込んでの上位。7位は立花隆の「エーゲ 永遠回帰の海」。知の巨人は82年に写真家須田慎一郎とレンタカーを駆ってギリシャ、トルコを8000`ドライブし、ギリシャ文明の成り立ちを考える。その成果が2005年にまとめられたこの本で、自分で一番気に入っている著作という。それが文庫化され手にした。写真も素晴らしい。
 8位が陣内秀信「水都 東京」。江戸のころから東京は水運が盛んで、国分寺崖線下の湧き水、神田川の源流、井の頭池などにも目が及んでいるのがうれしい。9位が湯澤規子「ウンコはどこから来て、どこへ行くのか」。類書を知らない。しかし、水が大切なのと同様、排泄物の処理は都市づくりの基本で、目の付け所が素晴らしい。10位が内田樹「サル化する世界」。俺は02年の「おじさん的思考」のころから、同学年の内田のファンで、この本の中で引用されている「デモクラシーとは敵と共生する。反対者と共に統治する」(オルテガ・イ・ガセット)の言葉に勇気づけられた。
 それではみなさま、良いお年を!新年は6日からつぶやきを再開します。

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