PTA役員の最大の仕事は自分の後任をきめることだ、と俺の主任ヘアデザイナーで2人の息子を持つ国立メッセの知ちゃんが、いつだったか力説していた。これはマンション管理組合の役員にも同様に言えること。昨年は前理事長がこれを怠ったため、暴走老人が理事に立候補してしまい、常なら理事候補12人を壇上に上げ、拍手で承認するところを、一人ずつ信任投票をせざるをえなくなった。 ことしはその轍を踏んではならずと、新年早々の理事会で、2年の任期が5月の総会で切れる理事さんに「ぼちぼち後任のメドをつけてね。昨年のようなことがあってはならない」と強調した。ウチの管理組合の役員は全部で10棟ある棟から、計12人が選ばれることになっている。毎年6人新理事が選ばれ、前年に選ばれた6人とチームを組む。理事長は互選で選ばれるのだが、たいがいは俺のように1年目に副理事長だった2年目理事が昇格するみたい。 1月の理事会でちゃんと後任選びをせよと言ったのに、俺の住む高層棟(理事定数は3人)の俺の後任のメドがたっていなかった。で、先々週末、先輩理事の引継ぎ帳にあった「やってもいい」Hさん宅を、1年生理事のUくん、Kさんと一緒に訪ねたが、奥方が出てきて「夫の仕事が急に忙しくなって寝る時間もない」と拒絶された。えー、こりゃ困った。 ウチの役員は経験者と賃貸入居者は除外というルールがあり、築30年以上たっているため、役員候補は極めて限られ、やっていない人でも高齢とか病気がちを理由に断るケースが多い。 で、Hさんにこれ以上お願いするのは無理と即断し、Uくんの知り合いで3年前に入居したOさんを狙いを定めることにした。Uくんを先頭に立てインターフォンを押すと「いつかはやらなければならないと思っていますが、子どもの小学校入学もあって、妻とも相談したい」との返事。 で、きのう会報2月号の印刷配布でウチの棟の3人の理事が集まったのを機会に「Oさん宅にまた行こう」。果たしてOさん宅ではカミサンも玄関口に出てきて「2年後ならやってもいいが、今回は子どものこともあるので……」と渋ったが、この住宅の特性を諄々と説いたうえで「どうせやるんだから、知り合いのU氏がいるうちにやった方がいいと思いますよ」と寄り切った。 もう四の五の言わないだろう。O氏の理事就任内諾が古稀の日の最高のプレゼントとなったのである。 |
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