「女性が多い会議は時間がかかる」という森喜朗元首相の発言は、コロナで開催が危ぶまれている東京五輪への最後通牒のように思える。これ海外ではとても通らない。ということで1月に読んだ本。 2021年の読み始めは森まゆみ著「路上のポルトレ」。谷中、根津、千駄木の地域雑誌を25年間にわたって発行し続けた森さんの忘れ得ぬ人についての思い出をまとめた。とても良い本。桜木紫乃著「おばんでございます」。小説「家族じまい」が良かった桜木さんの初エッセー集。北海道でも「おばんです」と言うことが分かった。 中野信子著「ペルソナ」。脳科学者の中野氏がこのところテレビなどによく登場する。どういう人か知りたくて手にした。この新書の中身はあまり記憶に残らなかった。宮城谷昌光著「孔丘」。中国古代に題材を取った著作の多い直木賞作家の宮城谷氏。俺は91年の「天空の舟」のころからほとんどを読んできた。その氏が今なら書けそうと孔子を取り上げたのだが、儒教の元締めが相手だけにあんまり面白くなかった。 朝日新聞社編「コロナ後の世界を語る」。福岡伸一、養老孟司など現代の知性がコロナを語る。養老氏が「受け入れるしかない」と話しているのが印象的だった。辻真先著「たかが殺人じゃないか」。昨年の「このミス」「週刊文春」「ミステリが読みたい!」で第1位を取ったという惹句にひかれ読んでみました。そりゃ、1位だからよくできてる推理小説だし、作家が88歳というのにも驚かされるが、衝撃度はそれほどでもない。 青柳いづみこ著「阿佐ヶ谷アタリデ大ザケノンダ」。著者はピアニストで俺と中学同級。祖父がフランス文学者、青柳瑞穂で瑞穂と交流のあった井伏鱒二、太宰治らの文士たちのエピソードや自分も居住する阿佐ヶ谷の町の魅力を語る。下戸の俺の印象は「いづみこはよく飲むなぁ」。岸本佐和子著「死ぬまでに行きたい海」。翻訳家、岸本は不思議なエッセーを書く。装丁に惹かれて手にした。東京近辺の場所が出てくるのでなかなかに面白かった。 森功著「鬼才 伝説の編集人斎藤十一」。週刊新潮の見出しを全部決めていたと言われる斎藤十一。亡くなった直後に私家版の伝記を読んだことがあるのだが、昔はすごい人がいたのだ。上廣倫理財団編「私の修業時代2」。こんな財団があるのを始めて知った。ゴリラ研究の山極寿一、俳優、滝田栄ら8人の若き日の一心に没頭する姿が率直な筆で書かれている。山極さんの話はとても読み応えがあった。
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