1954(昭和29)年には朝日、読売をしのぐ部数を誇った竹橋の新聞社だが、71年の西山事件(外務省機密漏洩事件)で500万部あった部数の10分の1を失い、俺が入社した73年の4年後には事実上倒産し、新旧分離を行い、俺ら社員もなけなしの金を出して株式を買い、新社を作った。以来、再建3カ年計画が何回つくられたことだろう。 だから、血気盛んなころは歴代の役員の田地田畑を没収すべしと過激なことを言っていた。当然待遇はよろしくなく、業界ブービー賞だった。もう30年も前に別れることになったカミサンは、市役所の記者室に勤めていたから、高給取りの朝日のバカに給料明細を見せられたことがあるようで、結婚当初給料袋を渡したら「これだけなの?」と真顔で聞かれたこともあったなぁ。 待遇が良くないもんだから、ロクな新入社員が入ってこない。それで中堅のころは「天の半分は女性が支えている。読者の半分は女性なんだから、女性が作っている新聞というのを”売り”にすべし」と、ことあるごとに女性の記者採用を力説した。女性は給料よりやりがいを欲するはずというわけである。当時はあった頻繁な泊まり勤務を女性はできないという意見には「そんなのはアホな男にやらせりゃいい」と言ったものだ。 あれから幾星霜。竹橋の新人記者の半分近くは女性。NHKの事件現場から中継する放送記者も女性が目立つようになった。これは誰にも言ったことがないのだが、新聞社でやりたかったことは人事制度に手を付けたかったのである。まぁ竹橋の会社は各取材セクションの声が強く、人事部の力はしれたものだが……。 今、マンション管理組合のトップとなり、これまで見たことのない女性総会議長の実現を仕掛けている。森喜朗の後任に橋本聖子が就任したように、今、女性活躍の時代といわれている。通常、年1回の総会議長は前年の理事長が勤めるのが慣例のようだが、前年のS理事長はその強引なパーソナリティーで、昨年の総会をちょっとしくじった。ことしの総会の議長をお願いすれば無用の混乱を招きかねない。 幸い、昨年度俺と一緒に副理事長をやっていた女性は、その仕事ぶりから十分議長の任を果たせるとみた。これが実現すればまだまだ男社会の団地の管理組合に、新風を吹き込めること間違いなしと思うのだが、どうだろう、トリイちゃん。 × × × × 明日は平日ゴルフのため久しぶりに「明日休診」です。 |
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