この前国立の音楽茶屋「奏」のライブで還暦を迎えたウード奏者のTくんが「こんなコロナの下ですが、ハッスルして参りましょう」と言った直後に「今はハッスルなんて言わないか」と苦笑してステージを始めた。確かに昨今「ハッスル」なんて言葉は使わないが、俺なんかは力を込めて活動するというこの語感はよく分かる。 Tくんは「そういえば根性なんかも死語だね」と話したが、今なら根性なんて使ったらパワハラになるのか。昔はよく使ったが、今は死語になっている言葉を、NHKテレビで月一回深夜に放送している「今夜も生でさだまさし」では半死半生語として、視聴者の投稿で時折紹介している。 「電話リクエスト」「湯かき棒」「旗日」「ダンパ・パー券」「伝言板」「落とし紙」「ゲルピン」「接吻」「カニ族」「食堂車」「いっちょうら」「エッチ」「へのかっぱ」等々。俺ら年長組にはピンと来る言葉ばかりだが、今は伝言板も食堂車も存在しないもんな。 2008年の流行語大賞を取ったエド・はるみの「ショッキングゥ」とか「チャーミングゥ」なんて、その時はこりゃいいわと思ったが、いつの間にか忘れられてしまう。俺なんか「ナウいね」なんてよく使ったもんだが……。いま、ちまたで使われている「キモイ」とか「チョー気持ちいい」なんか死ぬまで発することはないだろう。 35年も前の大蔵省回りの時、主計局の若手官僚がよく使っていた「容易ならざる事態」なんかも、あまり流行らなかった。俺がかつてよく使っていた「妙齢のご婦人」というフレーズも、そういう方に遭遇しなくなったせいか、とんとご無沙汰である。 |
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