餃子の都に出稼ぎに行く前に6年ほど京王線明大前にある某大でマスコミ志望の1、2年生を相手に文章教室のセンセをしていたことがあった。そんな縁で某大、すなわち前へ!前へ!の明治大はあまたある私大の中では気になる存在である。俺が受け持った明治の学生は純朴な子が多く、早慶のようにスレていないところがよかった。 その明治への志願者数が早稲田を抜いて全国の私大の中で一番多くなったという記事が当時社会面を飾ったことがあった。郊外に移転する大学が多い中、明治は神田駿河台を離れないのがよかったという識者のコメントが載ったりした。ほんに大学は街の中にあるのが正しい姿なのだ。 きのう毎日新聞を見ていたら、大学受験NOWという特集ページに「18歳人口減『大学全入時代』が到来」という興味を引く記事が出ていた。09年から18年までは120万人前後で推移していた18歳人口が減少期を迎え、22年春は112万人となり、大学入学志願者と大学入学定員が同数で、志望する大学を選ばなければ入学できる「大学全入時代」が来るというのだ。 そして、コロナの下、この春の私大の志願者数に大きな変動があったと、トップ30の表が載っていた。前年より志願者を集めたのは、千葉工大、立大、竜谷大、関西学院大、駒大、東京電機大、上智大の7校しかない。千葉工大は大学入学共通テスト利用入試の検定料1万5000円を免除したのが効いて、志願者を前年より5400人増やして10万8000人と、堂々の第2位である。 トップは明治ではなく9300人減の近畿大(大阪府)の13万5000人。明治は3500人減らし9万9000人の3位。4位は1.6万人減らした日大で9万7000人、5位が1.3万人減の早大で9万1000人。ライバルの慶応は?とみると、なぜかグンと少ない1700人減の3万6000人で21位だ。俺が一昨年インチキ授業に行った青山学院大は1.7万人減の4万人で19位。 6位の法政大、7位の東洋大、8位の立命館大(京都)などは軒並み1万人以上志願者を減らしている。コロナ禍で受験生が無理をせず自分の居住地や学力に合わせた大学を受験し、受験料の節約に走った、という解説があった。 私大の経営は授業料だけでなく、受験料に大きく支えられているという。1万人規模で受験生に逃げられた大学はさぞ辛かろうと思った次第だ。
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