今の西国のマンションに国立からチャリで引っ越してきてから16年になる。JR武蔵野線の開通で中央線と交差する西国分寺駅ができたのが、俺が社会人になったのと同じ年の1973年4月で、中央線では一番遅くできた駅のため、駅周辺はほとんど未整備で商店街らしきものはない。 マンションができたのは83年。当時住んでいたオヤジ夫婦のところを訪れた時は、駅周辺に喫茶店のような店は農道の中に一軒あっただけで、閉口した記憶がある。今その店は跡形もなく、当時とは道路の造りも大きく変わった。 引っ越してきたのは05年の12月だが、マンションから歩いて30秒のところにその年の夏オープンした「ボン・マリアージュ」というフレンチの店があった。ランチが当時は1200円(今は1600円)で食べられ、野菜や自家製パンがとてもおいしい店なので、贔屓にした。座るのはカウンターの一番奥の席で、そこでよく生物学の教科書を広げて、変な目で見られていたなぁ。 オーナーシェフのTさんは野球少年だった過去がある。俺の生物学の教科書を見て「かつては馬券を買ったこともあるけど、今はそれなら皿の1枚も増やしたい」と話したことも。他にしゃれた店のない地域なので、けっこう流行り、Tさんはその2年後、クリーニング屋さんを挟んだ南隣に和食の店「ぼんまり」をオープンさせた。ここも娘の誕生祝などによく使わせてもらった。 さらに数年後、武蔵野線のガードをくぐった東側の25階建ても大マンションの1階に店内でも飲食できるデリの店を開いた。3品チョイスで1200円。こちらの方が懐にやさしいので、俺のためにできた店とみて、よく通った。そのデリの店がコロナ禍で3月に閉店してしまい、弱ったなと思っていたら、昨年閉店してしまったクリーニング屋さんの跡を改装し、本日「ボンマリ・デリ」を再オープンさせた。 コロナで「ボン・マリアージュ」は店の前に机を出し、お弁当や単品料理のテイクアウトに懸命に取り組んできたが、このデリの再オープンでテイクアウト事業も軌道に乗るだろう。さっき店内で3品チョイスをいただいてきたが、変わらぬおいしい味だった。コロナで営業時間が制限され、酒も出せないレストラン経営は辛いものがあるが、この近くておいしい店は絶対つぶしたくないのだ。 |
|