なんと今年ももう半分が過ぎた。「あさイチ」で博多大吉さんが「スニーカーの汚れを取るには防水スプレー、を覚えただけ」と嘆いていたが、歳を重ねると大したことをやってないなぁ。ま、俺の場合はマンションの組合費値上げを実現させたけど。というわけで6月に読んだ本。 先月に続いて今年1月直木賞を取った西條奈加の文庫本をけっこう読んだ。孤児と金貸しの婆さんのお話「烏金」、飯屋のお話「鱗や繁盛記」、錺職人の話「千両かざり」、島流しになった僧侶もどきのお話「無暁の鈴」、猫が人間を動かす「猫の傀儡」。みな手練れた作品で楽しめた。あと文庫で未読なのは数作品だ。 山極寿一著「京大総長、ゴリラから生き方を学ぶ」。山極さんの本はなるべく読むようにしている。この本はあまりゴリラから学んではいないが。後藤正治著「拠るべなき時代に」。ノンフィクション作家の後藤氏の自薦人物論。水口素子著「酒と作家と銀座」。銀座で文壇バーを開いている女性の回顧談。いま、銀座で作家が集うということはあまりなくなったのだろう。期待したほど面白くなかった。 磯田道史著「日本人の叡智」。歴史学者、磯田氏の本は全部読むことにしているのだが、これは十年前に朝日新聞に連載された百人の歴史上の人物の名言を集めた。江戸の儒学者、佐藤一斎の「神童はいつでも見かけているが神翁は見たことがない」という言葉に惹かれた。岡上貞夫著「ゴルフは名言でうまくなる」。俺には畳の上の水練のような本だが、この中に紹介されているゴルフ・エッセイスト夏坂健の言葉「ゴルファーには二種類しかいない。何度でも一緒にラウンドしたいと思える人と、もう二度と一緒にゴルフしたくないと思わされる人だ」にはうなった。 川村隆著「一俗六仙」。この本については6月23日につぶやいた。27日に亡くなったばかりの前経団連会長、中西宏明氏を日立製作所のトップに引き上げたのが川村氏なのだ。斎藤信弘著「ジャーナリストの仕事」。毎日新聞経済部の18年後輩の斎藤くんはナイスガイ。そんな後輩がこんな大きなタイトルの本を書く時代になった。現在は編集編成局次長をしているから、ペイペイには仰ぎ見る存在なのだ。彼は汚職事件や暴力団を担当する社会部警視庁二課四課担当だったこともある。俺も警視庁警備公安担当だったこともあり、そうそう、と思えるところも多かった。 宝島特別取材班編「朝日新聞の黙示録」。朝日の今年の社長交代の背景がよく分かる。朝井リョウ著「正欲」。朝井氏の作家生活十周年記念出版。次女に薦められ読むようになった朝井作品だが、あまり楽しめなかった。 |
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