4年前まで仕事をしていた栃木の新聞社のトップを務めた鬼瓦から、地獄の底から響くような声で電話があったのは先週初めである。中国語勉強仲間の広告のエースが関係会社の社長に就任したのを祝う会をやらねばならない。まだ、若くコロナのワクチン注射は終わっていないだろうから、まず麻雀をセットしろとのご下命である。 こういう冠婚葬祭行事を鬼瓦は欠かさないのである。栃木にいた時も、竹橋の会社の大阪時代の部下の奈良県での葬儀にも足を伸ばしていた。新聞社はヤクザの組織に似ていて、義理を欠いてはいられないのである。 で、新米社長の空いている今週土曜日午後、かつての組閣幹事長Sくんと俺の計4人の組閣を完了したのだが、きのうになってSくんから「仕事が入ってしまった。申し訳ない」の連絡があった。 えーっ!代打を確保しなければならない。今、売れっ子の書き手Fくんに電話すると「土曜は山に行くんです」。鬼瓦がジャニーズ系と称する子会社の役員Nくんの声を久しぶりに聞いたが、ワクチンがまだの若手は中国語勉強に尻込みする。 週末は休めるはずの部署に今月異動したばかりの打ち手Kくんなら大丈夫だろうと連絡すると「家人の了解が得られません。申し訳ありません」とのメールが返ってきた。こうなれば卓の誘いは断ったことのない長老しかいないと電話すると「週末は名古屋の実家に帰っているんだ」。 う〜ん、万策尽きた。で、鬼瓦に恐る恐る「週末の組閣はできませんでした」と電話すると「ならば、メシを食おう。集合時間は麻雀より遅らせて5時な」。で、新社長によさげな場所はあるかなと相談。蕎麦屋で歓談することになった。今は夜7時で酒のオーダーはストップだから、呑兵衛の鬼瓦がベロベロになることはないだろう。2回目のワクチンを打ち終わった鬼瓦は怖いものなしの風情なのである。 |
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