きょうを入れてオリンピックはあと3日。連日8時間はテレビ観戦しているので、もうヘトヘト。日本選手のメダルラッシュで菅首相のトンチキぶりがうまいこと隠れているが、9日以降はコロナの感染者が1日2万人に達するのではないか、ということで7月に読んだ本。 1月に直木賞を取った西條奈加の文庫本を今月も集中的に読んだ。江戸の孤児たちがまっとうな商売にいどむ「はむ・はたる」、伊勢詣での世話役、御師が用心棒を兼ねて材木商の伊勢参りに同行する「御師 弥五郎」、子に恵まれず離縁された萌が実家の手習い所を継ぐ「銀杏手ならい」、雪の結晶の形を追い求める下級武士の話「六花落々」。いろいろな世界を手練れの筆で面白く描いている。 直木賞受賞後の単行本「婿どの相逢席」も、祝言の翌日に隠居を申し渡された婿どのが妻を支える物語で、なかなか読ませた。古賀茂明著「官邸の暴走」。元経産官僚の古賀が安倍・菅政権の官邸主導の政治の危うさを指摘する。20世紀後半には世界の先陣を切ってきた我が国の産業が、21世紀になりどんどん地盤沈下している姿にも愕然とした。 澤章著「ハダカの東京都庁」。元都庁幹部が小池百合子の欺瞞をあばく。この人、YouTubeでも発信している。宮沢孝章著「京大おどろきのウイルス学講義」。読みやすい新書だが、コロナウイルスに関しすいぶん学べた。萩尾望都著「一度きりの大泉の話」。一度も望都さんの少女漫画は手にしたことはないのだが、もう一人の少女漫画の大家、竹宮恵子との感情のもつれにふむふむとなった。 若江雅子著「膨張GAFAとの闘い」。ITの世界はGAFAが個人情報を押さえとんでもないことになっていることがよく分かる好著。著者は読売のITに詳しい編集委員。朝日新聞取材班編「自壊する官邸」。官邸の意向ばかりを気にする高級官僚に日本の将来はどうなるという思いを強くした。岸宣仁著「財務省の『ワル』」。知り合いの官僚が何人か出てきて興味深かった。 半藤一利著「歴史探偵 昭和の教え」。1月に90歳で亡くなった半藤さんの本にはなるほどと思わされるところが多い。池永陽著「おじさんたちの黄昏商店街」「同 それぞれの恋路」。なかなか楽しい連作。60過ぎのおじさん5人が頭脳明晰な高校生と力を合わせ、寂れかけた商店街の再興に力を尽くす。「雲を斬る」などの時代モノも書ける池永の小説は波長が合うのだ。 |
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