今でこそ「隠居志願」とか、その前の「冷奴」を名乗っているが、大学受験前にやっていたZ会の添削ではペンネームを「酸笑」としていた。Z会では成績上位の者がペンネームを通信欄に飾ることができた。Z会の試験問題はヒジョーに難しかったから「酸笑」のペンネームが載ることはほとんどなかったが、「酸っぱい笑い」は小粒でもピリリと辛い「山椒」のもじり。ガキのころから背は高からず高からずの方だったから、ウドの大木ではなく、小よく大を制するの山椒に親近感を持っていたのだろう。 だから、背の高い奴が圧倒的に有利なバスケットボールに全く興味がなかった。しかし、東京五輪の最終日、米国と戦って75対90で敗れはしたものの、銀メダルに輝いた日本女子バスケには目を奪われた。特に日本チームからただ一人ベスト5に選ばれたポイントガード町田瑠唯(28)のプレーは脳みそに刻み込まれた。なかなかいい顔をしているのだ。 この娘、身長が162a、体重57`で、キャプテンの185aあるセンター高田真希(31)の隣にいると、親子みたいな感じだが、コートを縦横に走り回り的確なパスを出し、87対71で勝ったフランス戦は、アシスト18と五輪記録を作った。パスを出すだけでなく自分で切り込んで行ってシュートを何本も決めた。北海道は旭川出身で高3の時は、キャプテンとして高校総体、国体など三冠を取ったこともある。 8位に終わったリオ五輪の時は、控えだったが「決勝でアメリカを倒して金メダルを取る」と話して笑われたこともあるトム・オーバス監督(54)の厳しい指導に応え日本チームに欠かせぬ司令塔の役目を果たした。米国は東京で五輪7連覇を飾ったベラボーに強いチーム。日本はこれまで96年の7位が最高で、ロンドンも北京もオリンピックには出られなかったのだから、銀メダルはもっと称えられてもいい。 このオーパス監督、米国コロラド州出身で、1990年にトヨタに入団。得点王となったのち、94年からNBAでプレー。2010年ENEOSのコーチになり、17年から日本代表監督を務めている。通訳を介すると選手の目線が通訳に行ってしまうと、指示は全部日本語。決勝の時は「得点はいいから良いプレーを!」という声をマイクが拾っていた。 準々決勝のベルギー戦で終了3秒前に173aの林咲希(26)が3点シュートを決めて、86対85で大逆転してから、身長差のあるフランス戦も食い入るようにテレビ観戦したが、瑠唯ちゃんのプレーは光っていたなぁ。とにかくあまたいるバスケプレーヤーの中で、ベスト5になったんだから凄いの一語に尽きるのだ。 |
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