先週今まで買ったこともなかった雑誌を大枚1200両を投じて購入した。文芸春秋から出ている「オール読物」9・10月号である。読み終わったばかりの500ページ余りの大冊で直木賞受賞作、佐藤究の「テスカトリポカ」について、選考委員の選評がどんなものか読んでみたかったからだ。 「テスカトリポカ」の舞台はメキシコ、ペルー、シンガポール、川崎と世界を股にかけている。メキシコのヘロイン密売組織のトップだった男がライバル組織にやられ、かつての地位を取り戻すため、アジアで小児の臓器密売の闇商売に手を染めるお話。いたるところに暴力シーンが出てきて、500ページ余で何人殺されたか分からないバイオレンス小説なのだ。 「テスカトリポカ」はアステカ文明の神様の名で、神にまつわる言い伝えもるる出てきて、かなり読みづらいところもあったのだが、この大著を名だたる作家の選考委員はどう読んだのか? 現在、直木賞の選考委員は9人。男は「水滸伝」の北方謙三、「ぽっぽや」の浅田次郎、「いねむり先生」の伊集院静の3人。女は日本文芸家協会理事長の林真理子、「マークスの山」の高村薫、「舟を編む」の三浦しをん、「八日目の蝉」の角田光代、「火車」の宮部みゆき、「OUT」の桐野夏生の6人。 選評をみるとこの「テスカトリポカ」を強力に推したのは林、宮部、角田、三浦、桐野の各氏で女性作家に多く、男性作家では伊集院、浅田が大量殺戮のシーンに否定的だったのが、面白かった。女性作家のなかでも男っぽい高村はあまり評価していない。北方は「観念としての暴力は私の眼には眩しかった」と中立的。なるほどねぇ。 俺は直木賞の受賞作はだいたい読むが、佐藤究と同時受賞の沢田瞳子は6年前に出た「若冲」が傑作で、何でこれが直木賞にならなかったんだと思っているため、今回の「星落ちて、なお」はあまり読む気がしない。しかし、人がむやみに殺されるバイオレンス小説というのは、読後感がよくないんだよね。 × × × × あすは年長組の平日ゴルフのため「明日休診」です。なお、今週の拙宅の花は淡いピンクのバラ「ダンシングクイーン」と赤と白がまだらのスプレーバラ「クラッシング」それに深紅のケイトウ「サカタプライド」です。 |
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