月日のたつのは早い。この前まで半袖でいたというのに、コートが必要な季節となった、ということで先月読んだ本。 西條奈加著「曲亭の家」。ことし1月直木賞を取った西條の本は集中的に読んできた。この本は滝沢馬琴の家に嫁いだ女性を主人公にした小説でなんでも書ける作家だなぁと感心した。島田裕巳著「『ひいき』の構造」。こういうタイトルに弱いのだが、それほど面白くなかった。黒木登志夫著「知的文章術入門」。文章術のタイトルには手が出てしまうが、それほどの内容とは思えなかった。 門井慶喜著「地中の星」。地中の星とは我が国で初めて造られた地下鉄のことである。江戸・東京に詳しい直木賞作家、門井氏が上野−浅草間に造られた地下鉄工事の難しさを取り上げた小説。なかなか面白かった。赤坂真理著「愛と性と存在のはなし」。赤坂の小説は「東京プリズン」というのを読んだことがあるが、この新書は不思議なテイストだが、いまいち理解ができなかった。 山本健人著「すばらしい人体」。とびきり面白い本。我々の体はとてつもなく精巧にできていて、例えば肛門は「降りてきたのは固体か液体か気体かを瞬時に見分け、気体のときのみ排出する」てな文章が満載。今年の俺の本のベストテン入り確実。平井一夫著「ソニー再生」。コロナで明暗が別れた電機業界で、音楽やゲームに特化したソニーは勝ち組の一つ。それを主導した平井前社長はどんな男か知りたくて手にした。このソニーの総帥は、ソニー本体ではなくソニー・ミュージックエンタテインメントに入社した男だった。異端のリーダーシップに学ぶところが多い。 西條奈加著「せき越えぬ」、今回のテーマは箱根の関所破りのお話。なるほどねぇ。稲垣えみ子著「一人飲みで生きていく」。元朝日新聞記者でアフロヘアで知られる著者が女性が一人で飲み屋の入る極意を伝授。愉快な人だ。下山進著「2050年のジャーナリスト」。変革期のマスコミ界で必要なものは何かのヒントが詰まっている本。この著者が19年に出した「2050年のメディア」も面白かった。 |
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