土曜日は某団体から頼まれてやっている読書感想文添削の仕事の大学生が卒業する卒塾式に出張り、祝辞をぶちかましてきた。結婚式のあいさつなら竹下登元首相直伝の「あいさつは短く、幸せは長く、営みはほどほどに」というのを何回かやっているが、卒業生への祝辞は初めて。何か気の利いたことをしゃべらないと、と割と真剣に文章を考えたのである。 コロナで対面の式はできなくなったと連絡があり、2週間前はいったん祝辞はなしになったと思い込んだが、1週間前になり、学生たちが生活している学生寮でZoomを使ったオンライン形式で開催するのでお出ましをということになった。 例年ここの卒塾式は高齢の会長が30分も長々と祝辞をやらかし、学生はダレがち。今回学生寮に出向いたのは初めて名刺交換した会長代理のおじさんと俺だけ。長年読書感想文の指導をしてきた元NHKのディレクターも今年度で引退することになり、俺の後に自宅からオンラインで祝辞を述べるのだという。 で、誰も言わないだろうと思う内容にしようと、まず作家城山三郎の「就職は一にも二にも人間関係の不条理に耐えることだ」の言葉を紹介。でも「嫌な上司も3年たてば配置換えでいなくなるのが世のならい」とつなぎ、元京大学長の松本紘氏が唱えた4つの「ガク」力(学、顎、額、楽)をつけてと訴え「若いうちはナマイキくらいの方がいい。現状に疑問を感じ正したいと前向きになっているから、ナマイキに映るのだ」と持論を展開し、「才能も知恵も努力も業績も忠誠もすべてひっくるめたところで、ただ可愛げがある奴にはかなわない」という谷沢永一さんの言葉で結んだ。 卒塾証書授与式では後ろの方から盛大に拍手を繰り返し、その後寮の屋上に上がって記念撮影。受け持ちの学生たちに会うのは年に2回の読書講座の時だけだから、大学1年生の時からこれまで8回しか会ったことのない子たちだが、「先生、来てくれたんですね」とあいさつしてきた上気した顔、顔に「これからも頑張れよ」と声を掛け気分は悪くなかった。やはりこういうのは、リアルの式の方がいいよな。
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