きのうは70年も生きてきて初めてという入塾式での祝辞をかましてきた。某団体が運営している学生寮で、大学生を対象にした読書感想文の添削のアルバイトを新年度も続けられることになり、ことしは新1年生を担当することになったため、その入塾式での祝辞を頼まれたのである。 こういう挨拶は作家の故丸谷才一が「あいさつはむずかしい」という著作の中で、ちゃんと紙にしたためて読めと強調している。で、京大式カード3枚に書いた次のようなあいさつをぶちかましたのだが、俺の前に特別講演した元気のよい女性がわざわざハイヒールに履き替えて1時間もしゃべったので、学生たちの膀胱ははち切れそうなのではと思い、登壇する前に司会者にトイレタイムを取った方がいいんじゃないとアピールした。 「大学ご入学、ご入塾まことにおめでとうございます。コロナ禍の2年間、みなさんの高校生活は普通とは違う辛いものだったと思います。ようやく緊急事態宣言、まん延防止等特別措置も解除され、リアルの授業や学友との腹を割った付き合いができるようになった春です。ぜひ人とのリアルの付き合いを楽しんでいただきたい。そして、これからの大学生活では4つのガクリョクをつけてほしいと思います。この4つのガクリョクというのは京都大学の元学長、松本紘さんが唱えたもので、1つ目のガクリョクは言うまでもなく、学問の力の学力です。2つ目のガクは顎の力、すなわちコミュニケーション能力です。三番目は額の額力。脳の前頭葉の力。すなわちひとの気持ちを思いやる能力です。4つ目のガクは音楽の楽。何にでも楽しめる能力です。この4つのガクリョクをしっかり身に着け大人への道を歩んでいってほしいと思います。 読書感想文について一言申し上げれば、私は読書感想文を書かせることが本ギライを生む遠因になっていると考えている人間です。文章を書くというのは自分の思いを正確に文字の落とし込む人間にとって大切な作業です。その文章を作ることがイヤだと思われないよう、読んで面白く友達にもこんないい本があったよと薦められるような課題図書を選ぶつもりですので、どうぞよろしくお付き合いください。諸君の学園生活が楽しく充実し輝きに満ちたものであるよう祈ります。本日はまことにおめでとうございます」。 俺が新年度に受け持つ1年生は27人。昨年度やっていた4年生10人の倍以上だ。男の子7人、女の子20人。どっひゃー、女子がベラボーに多い。素浪人には唯一社会とつながっているバイトだから、ちゃんとやらんとな。 |
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