素浪人の外出時のお供は手提げ袋である。現役の頃は家へ持って帰っても絶対に見るはずもない書類を詰め込んだ革鞄を後生大事に持ち歩いていたが、もうそんなことはしないもんね。生物学の教科書(昨今は500両する)を四半分に折るとちょうどいい塩梅に入る手提げ袋を愛用しているのだ。 3,4年前、革の肩掛けカバンを下げて校閲のアルバイトに行っていたころは、休みの日この手提げ袋をド・トールの机下の棚によく置き忘れた。4回目に忘れた時はついに、見当たらなかった。それで西国マイン4階にある百円ショップ「キャンドゥ」で「Bread and Butter」と書かれた緑色の手提げ袋を求めた。上部にファスナーが付いていて、一応閉めることができる優れもので、これが110円では申し訳ないと思える代物。競馬場に行く時だけでなく、国分寺にお菓子を買いに行く時も使って重宝していた。 ところが先日、底に穴が開きかかっているのに気づき、こりゃそろそろお褥下がりかと判断。新しい手提げ袋を求めることにした。しかし、「キャンドゥ」ではテキトーなのが見当たらず、国分寺駅ビルの百円ショップ「セリア」で50個はある中から、クリーム色で割としっかりしたつくりのをみつけ購入した。これまた110円。「Bread and Butter」は駅のゴミ箱に捨てた。 新しい手提げには側面に「Il fait tres beau aujourd'hui.(tresのeには`が付く)」と書いてある。50年も前の大学時代、第二外国語にフランス語を取ったので、フラ語であるとは分かったが、非常に出来の良い学生だったため、意味が分からない。で、ちょっと調べたら「きょうはとても良い天気」の意であることが判明した。 とても良い天気だからと言って、競馬が当たるとは限らない。コロナでもう丸2年、競馬場に行けていないが、早くこの手提げ袋に教科書を入れて東京競馬場に出撃できる日が来ないかなぁ。 |
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