隠居志願のつぶやき2017

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...... 2022年08月09日 の日記 ......
■ 「平成ロードショー」   [ NO. 2022080901-1 ]
 「ヤベさんという方から電話がありまして、国分寺の住所を教えてもよろしいでしょうか?」先日こんな電話がケイタイにあった。掛けてきたのは5年前まで勤めていた栃木の新聞社の総務セクションにいるNくんだ。で、「亡くなったの?」と瞬間的に反応した。福岡にいる矢部明洋くんは14年脳梗塞から脳出血を発症し、体の自由が利かなくなったと聞いていたからだ。
 「そうではありません。住所が知りたいようだったので」とNくん。で、国分寺の住所もケイタイの番号も教えてかまわないと伝えた。数日後、矢部くんのパートナー、T女史から「突然、栃木の新聞社に電話して申し訳ありません。矢部が西部本社の新聞に週1で書いていた映画コラムが本になりました」という添え書きと共に「平成ロードショー」という本が贈られてきた。
 矢部くんとは30年ほど前、俺が夕刊サラリーマンページのデスクだった時、1年ほど一緒だった。プロレス好きのアンちゃんだったと記憶しているが、ムチャクチャな映画好きだったのだ。1999年から16年間西部本社版に連載した映画コラムに、漫画の素養があるT女史が挿絵をつけ、200ページの本にまとめた。
 俺はあまり映画を見ない人間だから、知っている映画は「フラガール」くらいで、とてもついていける内容ではなかったが、あとがきは矢部くんが文字盤を視線で示し、それをT女史が苦労して文章に拾ったもののようだった。そうやって出来上がった本。病床にあってもこうして形に残るのはうれしいではないか。
 西部本社で学芸課長をしていた矢部くんは、九州人の作家葉室麟との対談相手を務めたこともあり、葉室氏の好意もあって「日本人の肖像」(講談社刊)という共著も16年に出している。重い病いに倒れた時、わずかながらの資金カンパを送った縁で、新著を贈っていただいた。T女史が俺の苗字を間違えていたなんてどうでもいいことなのだった。郵便局がちゃんと届けてくれました。

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