西国駅前の「エ・プロント」でよく会う後期高齢者のおじさんが、競馬必勝法を見つけたというので、それなら自分で馬券をお買いになったらいかがとたきつけたことは何度かつぶやいた。おじさんは毎週土日に早起きして立川ウインズに出撃して朝のうちに東京競馬の全12レースの三連複とワイドの馬券を100円ずつ計2万円ほど購入し、自宅にとって返してラジオ中継にかじりつく充実した週末を過ごしている。 たきつけた責任もあって、月曜朝は「エ・プロント」に出向き、おじさんから成果を聴く習慣ができつつあった。きのうの月曜は幹事優待券を使ったゴルフが入っていたため、「エ・プロント」には行けない。それで日曜日は朝から立川に出撃し、おじさんに月曜はお目に掛かれないことを伝えたいと思った。日曜日は競馬のG1ジャパンカップが府中で開催され、東京競馬場には予約なしでは入れないため、その馬券をウインズで購入する必要もあった。 朝メシは西国の「すき家」でも国分寺の「吉野家」でもなく、先日発見した立川駅構内のカニたまチャーハン(650両)である。メシを食い終わり食後のコーヒーと思って、南口の「ド・トール」前から9時過ぎ、先日番号交換をしたおじさんのケイタイに電話したが通じない。ほどなくして折り返しがあり、「マークシートの記入に集中していたので気が付きませんでした」。 「今はどちらに?」と尋ねると、ウインズA館3階で9時20分からの馬券発売を待っているところと言う。で、私がそちらに行きますと伝え、徒歩3分ほどのウインズA館に赴くと、おじさんは100円馬券を山のように購入している最中だった。俺も土曜の京都2歳ステークスの当たり馬券を換金してジャパンカップの馬券を購入し「お茶に行きましょう」と誘った。 どうもおじさんは土曜は全12レースでワイドが1点しか取れなかった様子。で、「ド・トール」のコーヒーはおごることにした。必勝法を見つけたと宣言したものの、いろいろ色気が出て買い目が増えているようだった。日曜の1レースが始まろうとしている。「ド・トール」の2階はラジオ電波が入りづらい。おじさんは「すいません。ちょっと外へ出て中継を聞いてきます」。う〜ん、こりゃ、かなり競馬中毒が進んでいる。 1レースは幸いワイドが当たったみたい。それで「今度の月曜はゴルフで成果は聞けません。グッドラック!」と言って別れた。とにかくおじさんの買い方は馬名も戦績もG1も特別レースも関係なく、スポーツ報知に載っている人気指数だけを頼りに馬券を買うのだ。そういう購入法があってもいいとは思うが、ジャパンカップの話題が全く出ない競馬談義というのもちと不思議だった。
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