この冬、だいぶ老人力がついたことを実感した。 拙宅のリビングには、もうこちらから掛けることもなくなった固定電話の前の壁に、予定を書き込める中型のカレンダーと、ライティングデスクの上に数字だけ入ったミニカレンダーがあり、毎年11月には新年のカレンダーを国分寺の紀伊国屋書店で購入することになっている。 年の暮れ、机の上のカレンダーを新しいものに取り換えようと思って、机の引き出しの中を探したが、ミニカレンダーがない。おかしいなと思いつつ、紀伊国屋で数字が大きい字体のシンプルなタイプを購入して、新年から机上に置いて使っていたのだが、先週、今週の読書講座で話す内容の書き留めようと、ライティングデスクの下の棚の小箱を開けて、京大式カードを出そうとしたら、その小箱の中にフロッピーディスクを入れる真四角のプラスティックケースに入っている小カレンダーを発見した。 11月に購入して、新年になるまでここに保管しておこうと入れて置いたものと思われるが、小箱に入れた記憶が全くない。どーすんの、このカレンダー。いくらあってもよい衣類と異なり、カレンダーは1つは必要だが、2つはいらないものなのだ。おまけに来年使うというわけにもいかない。 年末には本棚の入れ替えをしていて、本を2列にいれてある後ろの列から、大沢在昌の新宿鮫シリーズの11冊目「暗約領域」の単行本を発見した。昨年12月、本屋で平積みになっていた分厚い文庫本「暗約領域」を購入、そろそろこれを読もうかと思っていたところなのだった。俺は今までタイトルを改題して文庫化された本を購入して「なんだ、読んだことがある」ということはあっても、単行本で読んだ本が文庫化されたものを買ったことはなかったのだ。 「暗約領域」は700ページを超す大著で、19年11月に刊行された直後に読み、けっこう面白かった。それを文庫本にとびついてしまうとは老人力がついてきたと思わざるをえない。「カッパ・ノベルス」から「新宿鮫」が最初に出たのは1990年だから、もう33年になる。今「黒石(ヘイシ)」というシリーズ12作目が書店で平積みになっている。第一作刊行当時とは社会状況もかなり変わっているはずなのだが、新宿警察署の鮫島はあまり歳をとらないなぁ。 |
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