今の西国の弟名義のマンションに国立の狭い賃貸マンションから引っ越してきたのが17年前の2005年暮れ。国立時代の本棚は2つで、大半の本は東小金井の実家に置いてあったから、当時の本の冊数は500冊くらいか。それから毎年100冊以上は買い込み、読んできたから今のマンションには3000冊近い本があり、本棚も大小取り交ぜて10個ある。 かつてはどの本がどの本棚にあるか、くっきり覚えていたが、最近は老人力もつき何度か本の入れ替えをしているうえ、本棚の前後2列に入れているところも多く、毎年選ぶ「マイベストテン」の殿堂入りした本以外は、探すのが難しくなっている。再読はしない方だし、仕事で調べものをすることはない素浪人暮らしだから、そう支障はないのだが、おとといは1冊の新書を探すのに小一時間も掛けた。 作家の原田マハさんが美術館のキュレーターだった経験を生かして17年に集英社新書から出した「いちまいの絵」、副題に「生きているうちに見るべき名画」とある本である。某団体に頼まれてやっている読書感想文の添削のバイトで、大学1年生の課題図書に山本周五郎賞を取った原田さんの出世作「楽園のカンヴァス」を指定。学生23人の感想文に目を通しているのだが、コメントを書く際にアートの世界の手引書として最適と思っているこの新書を引用しようと思って、本棚のどこかに絶対あるはずのこの新書を見つけ出そうとした。 単行本より丈の低い新書の類は本棚の前列に並んでいる単行本のの後列にあることが多く、単行本を抜き出していろいろ探したが、どうにも見つからない。こういう宙ぶらりん状態は一番耐えがたい。で、昨日国分寺に朝メシに出た帰り、駅ビル8階の紀伊国屋書店で探したら6年前に出た新書なのにあった。990両。早速感想文のコメントにこの本のことを記した。 それにしても「いちまいの絵」はどこにもぐり込んでしまったのか。この新書、原田さんが小説のテーマにしたルソーの「夢」、ピカソの「ゲルニカ」、ゴッホの「星月夜」、ビアズリーの「サロメ」、ポロックの「ナンバー1A」など26点の絵画との出会いを語ったとてもよいアートの入門書なのだ。日本人作家としては唯一人、俺の贔屓の東山魁夷の「道」が紹介されている。 × × × × 今週の拙宅の花は、黄色の「ゆずてまり」、赤い「茜てまり」、ピンクの「恋てまり」というラナンキュラスと赤紫の小さな花を付ける「ビバーナムティナス」です。 |
|