きのうの満月は高くきれいだった。ようやく暖かくなって、きょうはコートなしで外出できたということで、2月に読んだ本。 今野敏著「審議官」。直木賞を取った隠蔽捜査シリーズの9.5。このシリーズの主人公、竜崎伸也の人物像が好ましく、全編読んできたが、今回は竜崎より星の数の多い警察庁審議官などが出て来る短編集。手練れた書きっぷり。小川哲著「君のクイズ」。「地図と拳」で直木賞を取った小川の最新作。受賞作が600ページでちょっと手が出ず、こっちを読んでみた。1000万円がかかったクイズの最終問題のまだ設問が出る前にボタンを押し、正解した男はどうして正解が導き出せたのかを追うお話。こりゃ、面白い。 北方謙三著「十字路が見えるT東風に誘われ」。大水滸伝の北方。14年から16年まで週刊新潮に連載した日常を綴ったエッセーを岩波書店から出した不思議な本。第二部も書店に並んでいるが、これはいいかなと思っている。片岡義男著「僕は珈琲」。片岡のエッセーは初めて読んだ。珈琲を書いているのではなく、そこここに珈琲の単語が出て来る。俺もよく出かける「ド・トール」の語源がポルトガル語で「ドクター」の意であることを初めて知った。 佐藤厚史著「荒地の家族」。芥川賞受賞作。文芸春秋3月号に全文掲載されていた。著者は仙台の書店員。端正な文体に最初は引かれたが、近年の芥川賞受賞作と同様、面白いとは言えない。今尾恵介著「地図記号のひみつ」。俺は割と地図が好きで、タイトルに惹かれこの中公ラクレ新書を手にした。地図記号にも変化があり、家の中にステッキをひっくり返したようなデザインのマークは老人ホームの記号で、小中生からの公募で2006年に新たに採用されたとか。 磯田道史著「徳川家康弱者の戦略」。大河ドラマはあまりの松潤の下手さに見るのを止めてしまったが、磯田さんのこの文春新書は文章がうまいからすぐに読んでしまった。凪良ゆう「汝、星のごとく」。映画化もされた「流浪の月」で20年度の本屋大賞を取った凪良の昨年の昨品。これ、「流浪の月」よりいいかもと思える感動的な小説だ。宇江佐真理著「ほら吹き茂平」。真理さんはやっぱりうまいと思って本棚をみたら、単行本で10年前に読んでいた。最近、こういうことが多い。 |
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