春分の日の21日、WBCの準決勝メキシコ戦のテレビにかじりついて、メキシコリードの終盤、何とか逆転しないかと思っていた午前11時半ごろ、ニュース速報が流れた。「岸田文雄首相がウクライナを電撃訪問」というのだ。 瞬間、やったな!と思った。G7諸国首脳のうち、ロシアと1年以上戦っているウクライナを訪れていないのは日本だけ。5月の広島サミットの前に、サミットで議長役となる岸田首相のウクライナを訪問したい思いは強かった。それをインド訪問の流れの中で実現させた。これは評価されるべきだろう。 村神様の逆転打でサムライジャパンがWBC決勝進出を決めた直後の昼の国営放送のニュースでは、首相が20日、インドのモディ首相との会談や夕食会を終わった深夜、同行記者団の目をかいくぐってチャーター機でウクライナの西隣のポーランド南東部のジェシュフの空港まで移動し、そこから陸路で国境沿いのプシェミシルに行き、そこから少人数でキーウ行きの列車に乗り込む様子を映していた。 この映像は日テレも撮っており、国営放送と日テレは首相がキーウに着く(列車で10時間かかるとか)前に、映像を流したことになる。首相は21日午後キーウ郊外のブチャを訪れ、ロシア軍に殺された犠牲者に献花し、その後キーウでゼレンスキー大統領と会談。共同記者会見も入れると約2時間40分に及び、ロシアの暴挙はけして許されず、法の支配に基ずく国際秩序維持で一致したという。 首相は22日にはポーランドに戻り、ドゥダ大統領らと会談。現地をその日のうちに発ち、23日の午前6時に帰国。国会審議を経て、夕刻首相官邸でサムライジャパンの選手団をねぎらった。このウクライナ訪問の実現と、WBCの日本優勝で、低迷気味の岸田内閣の支持率は少し上向くのではと俺はみる。 同行記者団に感づかれず、極秘裏にインドから空路ポーランドに向かったのは見事だった。とはいえ、プシェミシル駅で国営放送と日テレがカメラを回せた裏にはご当局のリークがあったからに違いないと、俺は確信している。政府がこれは絶対表に出さないと決めたら、プレスはその壁をまず突破できない。しかし、首相のウクライナ訪問は日本の国民にはどこかで絶対にアピールしたいはず。ポーランドは広い。あの駅でカメラを構えていてというリークでもなければ、絶対映像なんか撮れっこないのだ。朝日新聞によれば、首相のウクライナ訪問はロシア側にも事前通告していたという。 まぁ、これを機に、野党が国会開会中を理由に、大切な国際会議に閣僚を出席させないというような風習は改めた方がいいね。 × × × × 今週のトイレの一輪挿しは「龍宮あずき」という深紅のリシアンサスです。
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