きのうは栃木の新聞社で一緒だった5コ下のタラちゃんがメシを食いたいというので、新宿まで出張った。彼とは竹橋の会社時代にメディアセクションで一緒に仕事をしたことがある。その時上司から付けられたニックネームが、サザエさん一家のタラちゃんに似ていることからタラちゃん。しかし、栃木では大役員だったから、そんな風に呼ぶのは俺だけだった。 俺の方が2年先に宇都宮で仕事をしていたから、タラちゃんには芝刈り仲間の会に入ってもらったり、行きつけの飲食店を紹介したりはした。そのタラちゃんも昨年栃木の新聞社を退任し、悠々自適の生活で、俺が幹事長のゴルフコンペで会うくらいだった。それがメシを食いたいというのは? 待ち合わせは伊勢丹本店の正面玄関。タラちゃんはパナマ帽にリュック姿で現れた。7階の飲食店街に行き、空いている洋食屋に入ると「〇〇さん(俺のこと)にはずいぶん世話になりましたので、今日はご馳走します」「えーっ、世話なんかした覚えはないよ」と言ったが、大役員を7年も務めた彼の退職金額は想像がつくので、ここは甘えてしまうことにした。 タラちゃんが栃木に来たばかりのころ、円形脱毛症に罹りみんなを心配させたことがあった。その理由が8年ぶりにようやく分かった。誰だって人間関係に心を痛めるのである。コロナで3年間宇都宮に行けなかったので、かなり変わった社内事情を拝聴したが、素浪人にはどうでもいいことだった。一番驚いたのは、俺が原田マハ著「リーチ先生」を仕事の参考になるだろうからと差し上げた美形の学芸部記者E嬢が、有力販売店主の跡継ぎと結婚し退社したという話。そんな玉の輿話もあるのか。 タラちゃんは念願だった茶道を1年前から始めたとか。よく足がしびれないものだ。まぁ、彼は学生時代囲碁をやっていて、かなりの腕前というから、歳は取っても正座には耐えられるのかも。囲碁と将棋では相性が悪かったか、と思ったのである。 |
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