もう20年も前に、味の素の中興の祖で母校同窓会の理事長だった江頭邦雄さんの経営者に必要な条件という講演を聴いたことがある。創業鈴木家のくびきから会社を解き放った江頭さんが挙げたのは八つ。まず品格そして使命感。次に先見性さらに決断力。ちょっと夢のある詩(うた)心。問題処理能力、部下を大切に、ラストが私欲の無さ――というものだった。 この「問題処理能力」を「事務処理能力」と聞き違えていた俺。経営者なんかとても無理だが、事務処理能力は我ながらけっこうあるぞ、と思ってきた。 土曜日に行われた竹橋の会社関係者17人、5組のゴルフコンペが終わっても、幹事長の俺の仕事は残っている。当日撮った写真をプリントして各人に送付しなければならないのだ。俺はメールに添付された写真のデジタルデータは写真とは認めない古〜い人間なので、手間がかかるのだ。この写真のプリント代、郵送費用は当日の2000両の会費から当然いただいている。 事前にワンタッチ式の封筒と84円の気の効いた切手のシートを用意しておく。日曜は隣駅の国分寺駅南口すぐのプリント店に行って、17人の集合写真や組別の写真の拡大作業をして、人数分の焼き付けをしてもらった。夜には当日の講評的なあいさつ文をA4用紙にペンで書き、きのう月曜にはあさイチで近所のコンビニに行き、あいさつ文を16人分コピーし、自宅に戻ってコピーされたA4の紙を四つ折りにした。 それから住所録を基にワンタッチ封筒に万年筆で参加16人の宛名書きをした。そして、16通の封筒を机上にきれいに並べ、宛名をもとに写真を振り分 けたうえで、四つ折りの挨拶用紙に写真を挟み込んで封筒に入れ、ワンタッチ式で封をし、最後に封筒の裏に俺の氏名だけを書く。もう15年間、三カ月に一度この事務作業をやっているので、コンビニから戻ってから1時間ちょっとでこの作業を終わらせた。 記念写真はすぐ手元に届くようにしたいではないか。昨今の日本郵便は投函から到着するまでの日数が読めないが、月曜に出せば配達のない土日は引っかからないので、今週中に参加者全員に届くはずだ。 16通の封書を投函し終わってケイタイの最新のニュースを見たら、手紙の郵便料金が来年秋にも84円から110円になるとのこと。はがきも63円から85円になる。消費増税時を除き封書の値上げは94年以来30年ぶりというが、値上げは仕方ないにしても、ちゃんと配達してよねという感じだ。
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