きのう夕方、170回の芥川賞・直木賞の発表があった。 直木賞にはちょっと自慢したい思い出がある。15年前の2009年1月の直木賞を故・山本兼一氏が「利休にたずねよ」で受賞した時、前年の12月にこの本が候補作になっているのを知って手に取り、当時所属していた月間の政策情報誌の書評欄に取り上げ、受賞1週間前に刊行された1月号にバッチリ載せたのだ。 中央省庁の課長以上と地方自治体のトップに無料配布していたこの政策情報誌は、読者の東大出身者比率が一番高い雑誌で、「書評だってニュースであらねば」と割と真面目に取り組んでいただけに、ヨミピッタシと山本氏の受賞がとても嬉しかった記憶がある。 さて、きのうの直木賞。河崎秋子氏(44)の「ともぐい」が、万城目学氏(47)の「八月の御所グラウンド」と並んでの受賞となった。実はこの「ともぐい」(新潮社刊)は次女の勧めで心筋梗塞になる直前の8日に読み始め「これはすごい文章」と思い、ひょっとしたら直木賞を取るかもと直感、カテーテル手術後の13日に病室で読了していた。 次女は新潮社とは別の出版社に勤めているのだが、そこで河崎さんの連載を担当しており、夏にはJRA馬事文化賞を取っている縁で、河崎さんと一緒に函館競馬場に行ったり、秋にはあのイクイノックスの引退レースを東京競馬場の特観席で見たらしい。俺なんか予約がないから、競馬場にも入れなかったのに……。 その次女が「骨太な作品で現代女性作家には珍しいタイプ ぜひ」と言うので読んだのだが、北海道の森で生活する猟師の男と羆との戦い、厳しい自然を描写する硬質な文章にグイグイ引き込まれるうちに読了し、受賞を確信した。で、きのうの夕方は受賞のニュースを待ち構え、スマホに流れた直後に次女におめでとうメールを出した。 たぶん受賞を知らせる電話を作家を囲んで待つ”待ち会”の場にいたと思われる。きょう昼になって「(河崎さんの)記者会見がとてもよかったです」と返信があった。次女は昨夜テレ東で2回目の放送があったドラマ「推しを召し上がれ」の原作「令和ブルガリアヨーグルト」の編集も担当しており、今年は当たり年となりそう。子ども世代の活躍がうれしい年頃なのだ。 × × × × 今週の拙宅の花は、深紅の大輪のバラ「ベルベットリップ」と薄紫色の大輪のバラ「シュエルヴァーズ」です。 |
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