竹橋の新聞社に1973年に入社した仲間による同期会を、20年も前から誰かが卒業するたびに年に1回は開いてきた。この十年は、ボケが入ってくる年頃のため、会場は四谷の貸し切り蕎麦屋と決め、昨年から年2回開催としている。この同期会での決めは、タバコを吸うスー族と吸わないスワン族の席をキッチリ分けることだ。 だいたい12、3人が集まる同期会で、スー族は4人と少数民族だった。昨年11月の会で一番驚いたのは、スポーツ紙の社長も務めた同期の出世頭Mくんが「俺、スワン族に宗旨替えした」と宣言したことだ。何があったか分からないが、この正月届いたMくんからの賀状には、禁煙1年後に1本タバコを吸うのが夢とあった。 先月に心筋梗塞をやって命拾いしたものだから、主治医の命もあってタバコとの縁をあっさり切った俺。ことしの同期会では、そそくさとスワン族の席に座ることになるが、スワン族になってスー族時代との一番の違いは、喫茶店を選ばなくなった点だ。 これまで喫茶店に入る場合、タバコが吸えるかどうかが第一条件で、珈琲がうまいかうまくないかは二の次だったのに、昨今は禁煙の店が多いから、入れる店が増えた。ずっと以前から禁煙だったスターバックスやマクドナルドにも平気で入れるようになった。タバコルームを常設しているド・トール、タリーズにももちろん入るけど……。 そして、ほんとに信じられないんだけど、喫茶店で珈琲を前にして、セブンスターを吸いたいとは全く思わないのだ。55年間にわたる喫煙習慣はいったい何だったんだろう。まぁ、一生分はもう吸ったんだからという説もあるけどね。 |
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