本屋大賞の発表がおととい行われ、24年の大賞に宮島未奈さんの「成瀬は天下を取りにいく」が決まった。俺はこの”成瀬”を昨年7月に読んでおり、ユニークなヒロインの人物像に感心し、23年の俺の「本のベストテン」の3位に選んでいることから、納得の結果だった。 同賞は全国の書店員のアンケートにより、一番売りたい本を選ぶもので、ことしで21回目。昨今の芥川賞直木賞より受賞作品は店頭で売れることから、出版界の人はこの賞を一番狙っているのだとか。たしかに、訳が分からない芥川賞作品より読みやすくて面白い本が選ばれるため、読書感想文の課題図書選定のアルバイトをしている俺には見逃せない賞で、2004年の第1回の「博士の愛した数式」(小川洋子作)から、だいたいの作品は読んできた。 ことしも昨年末に発表された10作の候補作のうち、”成瀬”の他にも3位になった「存在のすべてを」(塩田武士作)、4位の「スピノザの診察室」(夏川草介作)、8位の「星を編む」(凪良ゆう作)、10位の「君が手にするはずだった黄金について」(小川哲作)をすでに読んでいて、この5点の中では”成瀬”が天下を取ると思っていた。 「星を編む」もいいんだけど、23年の大賞を取った「汝、星のごとく」の続編で、”汝”のファンなら必ず読む内容だから、販売戦略上からみて、大賞選出はないとみていた。 ことし1月には”成瀬”はその続編の「成瀬は信じる道をいく」も出版されているが、デビュー作ほどの衝撃はないことをお断りしておく。滋賀県大津市が舞台の受賞作は県を挙げて応援している様子。たぶん腕利きの編集者の入れ知恵も大きかったのではと思うね。 × × × × 今週の拙宅の花は深紅の大輪のバラ「サムライ」と白いレースフラワーです。 |
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